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おとめのエッセイ

女医の力~その11 アキレスと亀

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天使の卵 エンジェルス・エッグ (集英社文庫)/集英社
 一晩にして、なんと多くのものが失われてしまったのだろう。そのどれもが、もう二度と僕の腕には還らないものたちばかりなのだ。
 本当は、春妃の母親を泣かせ、父親と殴り合ってでも、この部屋を守りたかった。奥歯をかみしめてその思いをこらえる。僕は、春妃を激しくうらやんだ。少なくとも彼女は、こうしてたった一人置き去りにされる悲しみだけは味あわずにすんだのだから。

 底なしの深いため息とともに老人のように苦労して立ち上がると、僕はその小さな靴下ひとつを握りしめたまま、春妃の部屋を出ようとした。






 靴下はお腹の中にいた二人の子供、二人の未来の世界ために先生が編んでいたもの、いわば未来世界のための過去の痕跡だ。僕は「二度と僕の腕には還らないものたちばかり」の部屋に、すぐ前の過去の世界には触れられた、追いつくことのできた春妃の背中を観る。




 しかし、もはや追いつくことは永遠にかなわない。

 アキレスが亀に追いつこうとしても、亀の実在そのものが消えてなくなってしまったのだ。

 しかし、本当にそうだろうか?






 ゼノンのアキレスと亀のパラドックスはこうだ。



 アキレスが亀に追いつくためには、現在亀がいる地点にまでアキレスは移動しなければならない。
 亀はそこよりわずか前方にだがアキレスがその地点に着いた時には、進んでいるだろう。
 アキレスは再度その地点へと歩を進める。だがアキレスがその地点に着いた時には、やはり亀はわずか前方に進んでいるのである。




 過ぎ去った過去に追いつけないのならば、過ぎ去った春妃先生の過去のトラウマに追いつこうとすることもできなかったはずだ。それでも僕はあの夜、あの先生と結ばれた夜に確かに先生の背中を捉え、先生を抱きかかえながら、過去の先生のトラウマもろとも二人でそれを追い越したではないか

 僕たちはあの日、身をもってアキレスが亀を追い越す瞬間を体験したはずだ。一つの世界はもう一つの世界と交差する。一つの別の精神が死への逃避行という方法(『高校教師』)を取らずに、もう一つの精神と邂逅し得るのだということを身をもって経験したはずだ。



「どれほど大切にしても、どれほど愛しても、結局「死」には追いつけない。そのことが僕にはもう、いやになるほどわかっていた。死を悼み、悲しむのは、残された者だけだ。
どれだけ涙を流しても、死者には届かない。逝ってしまった者と残された者とは、永遠に分かれたままなのだ。「死」というその一瞬を境にして、その先は---未来永劫。」

女医の力~その10 世界の崩壊






 本当にそうなのだろうか?

「どれほど愛しても、結局「死」には追いつけない」





 そんなことはない。

 羽村先生には追いつけなくても、「僕」、君なら追いつける。

 と私(ゆっきー)は思うんだ。

 そうだよね?






 続く…


ps------小説『地下鉄のない街』を読んでくださっている方へ。

やっと、こっちのアキレスは亀に追いつきましたヨ(o^—^)ノ
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~ Comment ~

1. 面白い!読みたい! 

これは何としても
『地下鉄のない街』を読まねば。

そして数十年前読んだ、小林秀雄の『アシルと亀の子』を読み返さねば。

何処かにあるはずだ。

絶対探し出す!

2. Re:面白い!読みたい! 

>のん(千葉)さん

ありがとうございます(  ̄ー ̄ )ゞ
そろそろあっちにバトンタッチのシナリオが見えてきました。

3. 途中参加でスマソ 

なので前回の勘違いは失礼しました。

ゼノンのパラドクスが出たとこで
アキレウスのろうが溶けちゃう話
あの寓意も実はというか
あれは死に直結しているので
亀との競争も含めて
努力しても駄目だことを言いたいのか

つまり悲劇とはなんぞやって
ゆっきーさん的にはものすごく感心が高いのでは?
だってニーチェに直結するでしょ?

あっ、もしかしたらゆっきーさんワールドの中に
浸りつつあるのか自分。

ええい、じゃあゆっきーさんの中に入っちゃえ(爆)

4. Re:途中参加でスマソ 

>深川歌仙さん

おや!
命知らずな青年が(笑)。

5. アキレスと亀 

のパラドックスこそ、ヨーロッパ的な時間と空間の概念なのでは?

アキレスと牛のパラドックスというのは、アキレスは牛を追いかけるのですが、牛は向こうから向かってくるにも関わらず、アキレスは追いつけない、といったものでしょうか・・・・

御察しのようにひどく精神的に参っていて、気の利いた楽しいコメントができません。

ゆっきーの楽しく冷たい愛の温度は、慣れると病みつきになりそうなので、遠くからじっと見ています^^

6. Re:アキレスと亀 

>牛山馬男さん

あたしの冷たい愛(笑)。
うーむ、マニアックかも?(^∇^)
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